2017.01.26
「音楽の表現するもの」 ヴィクトル・ユーゴー
奥原由子
「音楽は、言葉にできないことを、
しかも黙ってはいられないことを表現する。」
『レ・ミゼラブル』(『ああ、無情』)で知られる文豪、ヴィクトル・ユーゴーの言葉です。
すべてを言葉で表現することに生涯をかけた天才の、音楽に対する謙虚さに感動しました。
私たちの心にスルスルと届いてきて、
「そうそう、私が感じていたのは、これなのよ!」
「この音楽で、どうして涙が出てきちゃうの?」
「なんで、希望はあるよ、なんて感じさせられちゃうのかなあ。」
などなど、説明のつかない存在の『音楽』。
その正体不明の存在をユーゴーは、言葉でスパッと表現してくれた。流石です!
音の天才たちが、特別な感性と洞察力で世界をキャッチし、
人としての誠実な良心から、「黙ってはいられない」と、命がけで発信してくれたメッセージ。
少年の頃から、「詩人になるのでなければ、他には何にもなりたくない。」
と言っていた文豪も、言葉のフィルターを通さないこのメッセージを受け取っていたんですね。
フランス革命後の、価値観が根底からどんでん返しを繰り返した時代。
自身も波乱万丈の人生を生きる中、ユーゴーの羅針盤になっていたのは、どんな音楽だったのかしら。