2018.11.22
ハンス・ペーター シュミッツ先生のキラキラ・キーワード その10
奥原由子
全ての音が何かを語っているように。
先月、私たちが新しい楽譜に出会った時の取り組み方を書きました。
繰り返します。
音符のつぶつぶを読み取りつつ吹いてみる。
そして、吹けないところがあったら繰り返し練習する。
でも、それより先ずその音楽の出来上がりをイメージした方が効率が良いし、楽しい。
今回はそれに加え、
作者が音符のつぶつぶに込めた気持ちやメッセージを「読み取り、感じ取り、共感し、表現する」ことが大切というキーワード。
先日メトロポリタンオペラの「アイーダ」のライブを映画館で観ました。
もちろん総合的に素晴らしい公演でしたが、主役のネトゥレプコさんの歌唱には特に感動しました。
彼女は幕間のインタビューで、役作りはどのようにしたのかに答えて、
「私がどうというより、作者ヴェルディがスコアの中に全て書き込んであるのだから、できる限り深く読み取りたいと思った。」
また、
「この作品の中で、30回以上“ピエタ”という呼びかけがあるけど、それらをその時々その単語に込められた気持ちで表現し分けたい。」
と。
ステージでは、楽譜の存在など微塵も感じさせず、感性全開で説得力のある歌と演技で観衆を感動に巻き込む彼女です。
でもそれが、客観的な知性と誠実な熱意で準備されたものであることを知り、より一層深く敬服。
そして、シュミッツ先生のキーワードと符合するのにも感動でした。