ハンス・ペーター シュミッツ先生のキラキラ・キーワード その12
奥原由子
「変化の必然性の法則」ということがあるそうです。
新年にいきなり難しいキーワードでごめんなさい。
ロングトーンで音が均質的に保たれると、「疲労現象」とか「順応現象」とかいうもので、だんだん弱く聞こえてきて、遂には忘れられてしまうそうです。
私たちには、変化しか知覚できないので、クレッシェンドする等何らかの変化をつけなければならないそうです。
お話変わって。
生物学者の福岡伸一博士は、著書「動的平衡」に、
動的平衡とは、“生命が変わらないために変わり続けている”ことである。
と書かれています。
シュミッツ先生のキーワードと共通性を感じますが、いかがでしょうか。
二人の先生方の教えから、私の新年の抱負を書いてみました。
まず、変えられないもの。
音楽は心身の必需品。これ無くして生きられない。
シュミッツ先生の教え通り、かなり情熱を傾けて精進しているつもりです。
同じ仕事を長年続けているので、熟練し続けているとは実感しています。
でも、変化しないとディミヌエンドに感じられてしまうそうです。
では、何を変えましょう?
私の専門のクラシック音楽は、長い歴史の中でも変わらない新鮮さを保ち生き残ってきたもの。変わってきたのは時代でありそれに影響される人間。
人間の状況や生き方や意識は移り変わっても、変わらない心の根幹が有り、音楽はそこに届き続けていたからですよね。
では、目まぐるしく移り変わる現代に生きる私たちには何を与えてくれるのでしょう。
そこから考えました。
時代の流れを冷静に見つめ、それに影響されている私たちの心が求めているものを的確に察知し、幸福感アップのために音楽をどう生かしていくかを考え、実践して生きたいということを。
綺麗事言っちゃいました。
が、実際は年をとるほどに、頭も心も体も固まり、変化するのがしんどくなってきているのも確かです。偏見と固定観念の殻を破り、変化する事はできるでしょうか。
他力本願的ですが、音楽を愛する皆様と一緒なら、共に学び共に変化しつつより幸福に向かうことができると思います。
そんなことで、今年も皆様、よろしくお願いします。