忍者の呼吸エクササイズ「息長(おきなが)」そして「明鏡止水」
奥原由子
シュミッツ先生の教え。「フルートで一番大切なのは、姿勢と呼吸」。
なので、呼吸の話はいつも興味津々。
先日NHKの番組で、忍者がやっていた呼吸エクササイズが取り上げられ、それを現代に応用する試みも紹介されていたので、レポートします。
仕事は常に命がけだった忍者は、日頃、「息長(おきなが)」という修行をしていたそう。それは、鼻から細く息を吸って、1分かけて吐く。というもの。
このエクササイズの目指すものは、「不動心」と呼ぶ精神状態。
これを会得すると、いざという時、冷静的確に状況を判断し、自分の能力を最大限生かせるという。
そして修行の暁に辿り着く究極の境地が「明鏡止水」。
心が澄み渡り、何も考えないのに、周囲の状態がはっきりと把握できるそう。
こんな素晴らしい呼吸法を、現代のストレス社会に応用し、生かしていこうとする、精神科医の小森照久さんの研究と実験が紹介されていました。
その実験。
1分間吐き続けるのは返って緊張してしまい、かといって短すぎては効果無し。
そこで、腹式で4秒吸って、6秒吐くを採用。
自然エネルギーを体に取り入れるイメージで行う!
その呼吸を続けること30分、脳波を測った結果。
リラックスを示すθ波が増。
ストレスを示すβ波は減。
これは、睡眠時のものと同じ。
ところが、それに加え、集中力を示すα2波が増。
眠っているのに冴えている状態だそう。
これが、「明鏡止水」。今で言う「ゾーン」のような境地でしょう、とのこと。
小森先生は、
「このエクササイズは、現代人の心の病の改善に応用できそうなだけではなく、私たち皆が、生き生きと生きるための知恵となることでしょう。」
とおっしゃってました。また、
「人間は本来、宇宙や自然の中の一つの生物であることに気づき、それと一体になることが必要だ。」とも。
最後、またフルートの世界に戻ります。
私たちは日頃、フルートを吹くとき、これに似た呼吸を体験しています。
「息長」=ロングトーン。
大好きなメロディをのびのびと吹いている時間は、正に「明鏡止水」。でしょ?
フルートを楽しんでいる間に、素敵なことが起こっている!
なんてラッキー!!!
意識して、深く気持ちの良い呼吸をして、宇宙との一体感を満喫したいですよね。