「聴く喜び」その2
奥原由子
前回の「本音トーク」では、「聴く喜び」に注目しました。
勉強した中から、興味深いことを補足します。
専門家の研究のおかげで、私たちが日頃漠然と感じていることが実証されていくのはワクワクです。
◯脳から耳へ。
前回、音は耳から入ってきます。耳はその音の信号を電気信号に変えて大脳に伝えるのだそう。ということで、音からの情報をキャッチしているのは脳。
と、レポートしました。
逆に、脳も耳に信号を送るのだそうです。
脳からの信号をキャッチした耳の細胞は、特定の音を際立たせるのだそう。
「カクテルパーティー効果」もその一つ。
騒々しい場所でも、特定の音を聴き取れるというもの。
これって私達は日常的に体験してますよね。
自分の演奏を聴くときも、アンサンブルするときも、オーケストラを聴くときも、当たり前のように聴きたい音に焦点を絞って聴くことができる。
脳と耳の素晴らしい連携プレイ!
◯音の記憶はとても強い。
音は人類が生き延びるために重要だったから、全方向から正確にキャッチし、しっかり記憶したのだそう。
これも私達日頃からお馴染みですよね。
様々な曲を覚えるし、いつ誰がどんな風に演奏したかも覚えている。
その感動の記憶を元に、自分の演奏を創っていく。
◯抑揚の記憶は胎児の時から。
胎児は母親の声だけに反応し、口を動かしたりしているそう。
そして、生まれてすぐにその抑揚で泣くんですって!
母親を真似るのは、生存に深く関わっているからだそう。
フランスの研究者が、フランス語圏とドイツ語圏の赤ちゃんの鳴き声の抑揚の違いを発表。
フランス語圏では、小さく始めてクレッシェンドしつつ音も上がる。
ドイツ語圏では、大きく始めてディミヌエンドしながら音も下がる。
ははーん。それぞれの国の演奏者やオーケストラの語り口の違いはこんな頃から始まっているのね!
◉ここで、私達の演奏を振り返ります。
私達日本人の演奏は、欧米の人の演奏に比べて抑揚が少ないな、と感じていました。日本人が欧米語を話すときに似ています。
始まりは生まれる前からあったんですね。
グレゴリオ聖歌の昔から、「緊張と弛緩」として抑揚は大切な表現の伝統になってきました。
欧米の音楽が大好きな私達です。彼らが書いた楽譜からも、名人達の演奏からも、この抑揚に注目して学びたいものですよね。
聴くときも吹くときも、耳の楽しみは広がりましたよね。🎵⤴️🎶🎶⤵️