2023.08.31
「モーツァルト頌」を読み始めて
奥原由子
この本は、1966年に白水社から刊行されたもので、編者は吉田秀和氏と高橋英郎氏。
500ページを超える立派な装丁のズッシリ重い本です。
何百人もの歴史に残る偉大な人々のモーツァルトを讃えた文章を集めたものです。
まず、その並んだ名前の大きさと人数に圧倒されました。
専門は音楽のみならず、文学、美術、哲学、科学、等々多岐にわたります。
それぞれの分野で前人未到の仕事を成し遂げるのに、彼らは想像を絶する困難を乗り越えたのでしょう。
モーツァルトは、そんな彼らの孤独な仕事の背中を押して励ましていたらしいんです!
「讃えた」と書きましたが、語り口は知的で冷静なものではない印象です。
むしろ、思わず心から流れ出て、書かずにはいられない熱い想いが伝わってきます。
嬉しい驚きです。
こんなハイレベルなモーツァルトのファンクラブがあったなんて!
私も子供の頃から常にモーツァルトに助けられてきたファンの一人です、なんて言うのも恥ずかしいくらいですが、、言っちゃいます。
モーツァルトは人類の最高峰の人、と思うのは私だけの妄想ではなかったというのが分かって本当に嬉しいです。
この人はなんて言ってるのかな?あの人は?、とチョットづつ読み進むのは至福の時です。
当分楽しめそうなボリューム。
編者のお二人も後書きでモーツァルトへの熱々の思いを語っておられます。
長い長い年月をかけて大切に大切に編まれた一冊だと解りました。
改めて、編者のお二人と、彼らにこの仕事を喚起された出版社に感謝です。