のびのび羽ばたけ女性達！
奥原由子
この所アメリカでは、正当に能力を評価されることを求める女性たちの声が大きく広がっていますよね。
グラミー賞やアカデミー賞の女性受賞者たちが感動的なスピーチをしています。中でも最下層から身を起こし、次期大統領とまで期待されているオプラ・ウィンフリーのゴールデングローブ賞でのものは特に圧巻。女性達を大泣きさせ、何回もスタンディングオベーションを巻き起こしたそうです。本国だけでなく即日本語にも訳されネットで流されています。凄いですよ。
この1月22日に、ル・グウィンというアメリカの作家が88歳で亡くなりました。日本ではジブリのアニメ「ゲド戦記」の原作者として知られていますが、その他多くの感動作が邦訳もされています。
ウィンフリーとは違い、高名な学者の父と作家の母の元で育ち、自身も最高の家庭を作った女性です。
その彼女がエッセイの中で、自分を二流の男と自己紹介し、
「この世は結局男を評価する基準しかないから、みんな男として評価されるし、女はその基準では二流の男なのよ、どんなすごい女でもね。」と書いているそうです。
ウィンフリーとル・グウィン、人種も育った環境も全く違いますが、共通のハンディキャップは女性ということ。そして共通の素晴らしさは、そのマイナスをプラスに押し上げ偉大な仕事を成し遂げたこと。
1月22日に亡くなったル・グウィンは1月7日のウィンフリーのスピーチを聞けたのかしら？
ここで話を日本へ。上記のお二人とはスケールの違う話で恐縮ですが。
ウチのプロジェクトのボス、古谷先生はル・グウィンさんと同世代です。
日本のフルート界での女性プロの草分けです。多くの女性たちを指導し背中を押し、今日の広く普及したフルート愛好者の世界を牽引した人です。
私は彼女に紹介されたシュミッツ先生の教則本に感動し、ベルリン芸大に留学しました。ドイツ人男性であるその先生は当然大きな方で、私は150センチに満たないチビです。その様子は「本音トーク」16.03.18でご覧になれます。あまりに身体能力の違う方の教えてくださる内容を、なんとか実現しようと必死でした。
そんな二人が協力して、華奢な女性や子供達が無理なく効率良く得とくできるよう10年かけて作った教本が、2000年の初版以来ロングセラーを続けています。若い先生方から絶対に絶版にしないでという声も届いています。
私たちの培ってきたものの結晶が、一生懸命頑張っている女性たちの心のオアシスのような時間に役立っていることはとっても嬉しいです。
ル・グウィンの童話、魅力的な挿絵満載の「空飛び猫」は村上春樹の名訳で講談社文庫で出版されています。
主人公の猫達は何故か翼を持って生まれてきました。言わば二流の猫でしょうか。鳥からも動物からも変な奴扱いで、いじめに遭います。
でも彼らは身を縮めるのではなく、その翼で前向きな希望に燃えて広い世界に旅立ちます。そして助け合いながら、遭遇する様々な困難を乗り越え成長していきます。
私たちも、大空に笛の音を響かせながら、「空飛び猫」のように未知の世界へ冒険の旅を続けていきましょうよ。ご一緒に！
