2016.03.10
3月の講師演奏曲について。
《無言歌集》の中の最も親しまれている1曲です。
文字通り歌詞は無く、音だけで春の情景や、うきうきした気分が表現されています。
私の故郷、“早春賦”の書かれた信州・大町の春と、音楽修行に出かけたベルリンの春は似ています。
メンデルスゾーンもこのベルリンで活躍した人ですから、同じ春の喜びを味わったのだと思います。
長く寒く暗い冬の後、突然圧倒的な春がやって来ます。キラキラしたまぶしい日ざしと共に、新芽が萌え出し、つぼみは一斉に花開きます。
メンデルスゾーン自身は、短くも美しい春のように38才の若さで急逝しましたが、彼が魂をこめて残した響きは、永遠にいつでも、私たちを春の空気、香り、で包み込んでくれますよね。
2016.3.10 奥原由子