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講師演奏曲の解説集講師演奏曲の解説集

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2021.04.01

4月の講師演奏曲について

ヘンデル 作曲 「いとしい愛らしい緑の木陰」

こんな状況下でも爽やかな新緑の季節は来てくれます。

オンブラ・マイフとして親しまれているこの歌の歌詞は、
「こんなにも心地よく愛らしい木陰はかつてなかった。」
という感動を歌ったもの。

オペラでは、この歌の前に次のような語りが先行します。
「優しく美しいプラタナスの葉よ、運命はお前たちのために輝いている。
雷も嵐もそれを邪魔はしないよ。」
といった内容。

仕事でもプライベートでも、嵐のように過酷な状況を、常に雄々しく乗り越えつつ歩んだ作者ヘンデル。この曲は、そんな彼の心から流れ出た、静かだけれど深い感動。
それはあたかも、今の私たちの気持ちを代弁してくれるかのようです。

素晴らしい音楽や新緑から「大丈夫だよ!」をもらいつつ、前向きに過ごしたいです。

奥原由子

2021.03.01

3月の講師演奏曲について

メンデルスゾーン 作曲 「歌の翼に」

「歌の翼に愛するあなたをのせて、パラダイスに運んで行こう。そして安らぎを味わい、幸せの夢を見ましょう。」
という歌です。

コロナに巻き込まれて、息苦しい空気に包まれて約1年。
この歌は、今正に私たちの願望ですよね。

優しく吹き上げる上昇気流のようなピアノ伴奏に乗って、ひと時気持ち良く浮遊してください。

冗談では無く、この曲にはそんなパワーがあるんです!
私事ですが、繰り返しこの曲を練習していたある夜、夢で空を飛んでしまったんですよ。住み慣れた街の上空をフワフワと。駅前ロータリーを眺め、ガードをくぐりと、かなりリアルに覚えています。

今度ぜひ、未だ見ぬパラダイスまで飛びたいです。
マスク無しで、ご一緒に。

奥原由子

2021.02.02

2月の講師演奏曲について

シューベルト作曲 「菩提樹」

音楽に表現されているものには、二つのタイプがあるようです。
一つは、作者あるいは登場人物が、表現しようとする世界にいるもの。
もう一つは、現実には無いけれど、憧れている世界。
名曲にはこの二つ目のタイプが多いように思います

先々月の、ベートーヴェンの「喜びの歌」。あの曲の描いた世界、“人類皆で愛し合い抱き合おう”は、いまだに実現されていませんよね。
先月の「春への憧れ」は、モーツァルト がどん底の状態にある真っ暗な1月に描いた、これ以上無いほど明るく軽やかで清々しい春の曲。
そして、今月の「菩提樹」もこのタイプ。

原曲は歌曲集「冬の旅」中の一曲。
舞台は階級制度の厳しい時代。主人公は、それを越えようという夢にやぶれ、苦しい旅をする貧しい若者。その若者の心に、泉のほとりの菩提樹は「友よ、おまえの安らぎはここにあるよ。」と語りかけてくれます。

どっしりと包容力に満ちた大樹。豊かに茂る緑の葉の心地良いそよぎを、シューベルトは見事に表現してしまった!
状況を知らずに聴いたらまんまと騙されてしまう。
彼は、心地よい新緑を満喫しているんだと。

今まで体験したことの無い、重苦しい冬を旅している私達。
こんな時だからこそ、憧れを描いた音楽は、力強く心の奥底まで届き、癒し、希望を与えてくれるように感じています。

目をつぶってシューベルトの夢にすっぽり巻き込まれて、深呼吸させてもらいましょう。

奥原由子

2021.01.05

1月の講師演奏曲について

モーツァルト作曲 「ロンド」(ピアノ協奏曲第27番より)~「春への憧れ」

この曲は、1791年の今日、1月5日に完成しました。
間違いなくとても寒い日だったでしょう。
その上、この頃の彼は健康面でも経済的にもどん底状態。
そして、この年の12月5日に亡くなります。

そんな時期に何故、この上なく明るく軽やかで、喜びに満ちたこの曲が生み出されたんでしょう。?????ですね。

歌曲「春への憧れ」は幼い少年が語っているスタイルです。
歌詞は、
“5月よ早く来て。冷たい冬はもうごめんだよ。野原で飛び跳ねて遊びたいよ。まず、スミレを咲かせて!小鳥たちも連れてきてよ!お願い!”

「ロンド」のメロディは「春への憧れ」とほぼ同じ。
清々しい透明感漂う彼の最後のピアノ協奏曲第27番の終楽章。終始軽やかで、まるで少年の願った春がやってきたかのようです。
弾むようなスキップのリズムで始まり、小鳥が飛び交い、スミレ咲く大地のコーラスが喜ばしく響きます。
そこへ突然、冬の名残の北風が吹きつけます。
でもすぐに、希望が立ち上るように春が呼び戻されます。

驚くべきことに、モーツァルトは実人生でも、この見事なV字回復を体現して見せくれました。
瀕死の彼は、この希望に満ちた明るい曲達を書くことで、春を、そして気力を呼び戻したかのように、「魔笛」「レクイエム」など大きな傑作の数々を生み出します。たった一年足らずの間にですよ!!!信じられますか?

奥原由子

2020.12.02

12月の講師演奏曲について

ベートーヴェン 作曲 交響曲第9番より

ベートーヴェン 生誕250年記念の年も残り僅か。
世界中が非常事態に見舞われている現在、「いつもの第九」はより一層私たちを励ましてくれるように思います。

その終楽章、オーケストラの大音響が一瞬静まり、まるで遠くから徐々に近づいてくる希望の足音のように、ピッコロの行進曲が聴こえてきます。
「百万の人々よ、互いに抱き合え…」という大合唱を先導して!

ベートーヴェン は、シンフォニー3番「英雄」の終楽章や、オペラ「フィデリオ」の序曲などで、「明るい希望の光」を感じさせてくれる部分をフルートで表現してくれています。

どんなに苦しくても上を向いて前進し続けたベートーヴェン さん、私達も後に続けるよう頑張りますから、来年も応援どうぞよろしくお願いします。

奥原由子

2020.11.05

11月の講師演奏曲について

ドビュッシー作曲 月の光

冴え冴えとした月の光が楽しめる季節がやってきましたね。
皆さんは、どんなお月見の思い出をお持ちですか?

古今東西、様々な分野の芸術家たちが月にインスパイヤーされ、素晴らしい作品を残してくれています。


この名曲もその一つ。 いつ何時でも、澄み切った光に包まれた世界に誘れます。
そして、浄化されたような気分にしてくれますよね。

アンデルセンの童話「絵のない絵本」も心に残ります。
月が屋根裏部屋で暮らす若い画家に、世界中で見てきた事を話して聴かせるという設定。
アンデルセンは、これを読む子供たちに、人間の様々な営み、考え方や生き方で、「本当に素晴らしいことは何か。」を伝えたかったのだと思います。

現在の世界のこの状況でも、月が子供たちに、沢山の生きる喜びや未来への指針を話して聴かせられる事を祈りたいです。

今夜も月を眺めながら、これを読んでくださっている皆さんと一緒に、この曲を味わえることに感謝します。

奥原由子

2020.10.01

10月の講師演奏曲について

ドボルザーク作曲 ユモレスク

ようやく暑さも去り、深呼吸しながらの散歩も快適になってきましたね。
今月は、心地よいペースで一緒に歩いてくれて、身も心もくつろがせてくれるような曲です。

ドボルザークは、アメリカに招かれ活動していたある夏、故国で家族と共に夏休みを過ごしました。この曲は、その際に作曲されました。

彼は、こよなく愛する故郷の、緑滴る自然に包まれて散歩したのでしょう。
「今、この時、を全身全霊で満喫している」という気持ちが伝わってくるような曲だと思います。

色々大変な「今」ですが、せめてひと時、こういう曲を心に響かせながら散歩するのも良いですよね。どんな状況でも「今」は大切だから。

奥原由子

2020.09.03

9月の講師演奏曲について

シューベルト作曲 音楽に寄せて

原曲は歌曲です。歌詞は、
「音楽よ、おまえは私がつらく悲しい時、いつも心に暖かい愛の火を灯し、より良い世界、幸せな明日を見せてくれた。音楽よ、ありがとう。」
といった内容。

作詞者と作曲者の「音楽」への感謝のメッセージ。
メロディもピアノパートもシンプルで穏やかなのに、ストレートに心に届いてきます。
大変な人生を生きたシューベルトの、心の奥底から立ち上ってきた真実だからだと思います。

現在大変な状況下にいる私たちです。
周囲の状況が過酷なほど、音楽の助けが必要だし有難いと実感しています。
そんな気持ちをシューベルトは、後世の私たちも「うん、そうそう、そうなのよ!」と、共に感動できる曲にして残してくれました。

まだまだ続きそうな、息苦しいこの状況。
「より良い世界、幸せな明日は必ず造れるよ!」
と励ましてくれる、こういう音楽と過ごせる時間に感謝したいと思います。

奥原由子

2020.08.05

8月の講師演奏曲について

サティ作曲 ジムノペディ

いよいよ暑い暑い夏本番ですね。
心身の火照りを鎮めてくれるこの曲がオススメです。
血圧まで下げてくれるという説もあるようです。

作曲は先月と同じサティの人気曲。
あくまで穏やかな雰囲気を表現したくて、バスフルートで吹いてみました。

彼の斬新な作品は、同時代や後の音楽界にも絶大な影響を与えました。
でも、ご本人は出世や名誉などなどの俗世界の欲は皆無!
生前は誰も入れなかったという部屋。亡くなった時、中身の空っぽのグランドピアノや、投函されなかったラブレターの束が残されていたというエピソードも。

純粋で誠実で心優しい人。
押し付けがましく無い、「家具のような音楽」を目指したほど。

聴くものに緊張も警戒心も与えない。
スーッと入ってきて、優しく包み込んでくれる。

暑さ、コロナ、マスク。
しばし、サティがストレスから解放してくれると思います。

奥原由子

2020.07.10

7月の講師演奏曲について

サティ作曲 ピカデリー

大雨、シトシト、ジメジメ、その上コロナにマスク!
とてもとても、ニコニコと深呼吸しながら颯爽と歩けるなんてもんじゃないですよね。

そんな中、フッとこの曲を口ずさんだら、足取りが軽くなりました。

サティの自宅と、仕事場であるカフェは、パリの街を挟んで反対側。
その道程を、何時時間もかけて徒歩で通ったそう。
もしかしたら、その奇行の間に、規制にとらわれない、独自で、超超魅力的な音楽が湧き出してきたのかしら?

明るくはない人生から、私たちへのカラッと明るい贈り物。
心優しいサティに感謝しながら、ニコニコ深呼吸させていただきます。

ぜひ、皆さんもご一緒に。

奥原由子

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