2019.01.01
1月の講師演奏曲について
モーツァルト作曲 フルート協奏曲KV.299第1楽章
年の初めに明るい若さ溢れる曲をお聴きください。
フルートとハープのための協奏曲ですが、ここではピアニストがハープとオーケストラ両方をまとめて演奏しています。
書かれたのは、彼が故郷を飛び出したばかりの時期。昨秋からお聴き頂いていた四重奏と同じ頃です。
若者らしい無防備なくらいの明るさに溢れています。
私とピアニストの長谷川綾子さんがこの曲を勉強し始めたのは、共に学んでいたベルリン芸大時代。モーツァルトがこの曲を作曲したのとほぼ同じ年頃です。一緒にシュミッツ先生のレッスンを受け、顔を合わせる度に合奏して感動し合いました。
当時ベルリンは東西に分断され、その双方で超一流の音楽家達によるモーツァルトのオペラやコンサートが頻々と上演されていました。本当にありがたいお手本でした。より深くモーツァルトを学びたい、そしてそれをどう表現するか。答えを求め、躍起になって通いつめました。
後先構わずただひたむきに突き進む、青臭さの塊。
このCDを録音したのは後に帰国してからですが、かつての息吹そのままに演奏したつもりです。
何十年も時を経た今でも、この曲を弾き始めると綾子さんのピアノからは青春が湧き上がります。
モーツァルトと私たちの若気の至りの響きが、皆さんご自身の青春を思い出すひと時となりましたら嬉しいです。
奥原由子