2021.09.07
9月の講師演奏曲について
ラヴェル作曲 「亡き王女のためのパヴァーヌ」
ラヴェルのお父さんは音楽好きで、息子の才能を見抜き、大切に育ててくれました。
少年ラヴェルと、先月お聴きいただいたサティを出会わせたのも、お父さんだったようです。
若いラヴェルの敏感な心に、サティの温かな音楽は瞬く間に深く染み込んだのでしょう。
以来ラヴェルはサティを敬愛し続けました。
さて、この曲の「王女」は誰なのかは、本人が書き残してないので、色々推測されています。パヴァーヌがスペインの舞曲であり、彼のお母さんがスペイン人だったことから、最近は「お母さん説」が有力です。彼女は美しい声で歌ってくれていたようです。
緻密な完全主義者のラヴェル。一分の隙も無いファッションで、キッチリと武装している写真が残っています。
でもそんな外見と違い、彼の心の中からは、自由だけど繊細で温かい音楽が流れ出してきます。
この小さな曲は、私の心に広大な世界を呼び覚ましてくれます。
それは、愛おしく懐かしい人達が皆微笑んでいる、星空の彼方の天国。
あなたの心にはどんな世界が浮かび上がってくるのでしょうか?
奥原由子.