2016.10.01
10月の講師演奏曲について
モーツァルト作曲 「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
暑い時期、心身のほてりを冷ましてくれる音楽をお聴きいただきましたが、
今月はエンジンを掛け直してくれるような曲です。
モーツァルトといえばこの曲。一度聴いたら忘れられない軽やかなリズムに乗せた、シンプルで親しみやすいメロディ。
でも専門家によると、楽聖晩年の一分の隙もない曲だそうですよ。
晩年と言っても、たった36年の人生ですがね。
それも天国と地獄を行き来するようなものだったようです。
皆さんのモーツァルトはどんなイメージの人ですか。
これは私のイメージ。
普通の人には考えられない程の困難をはねかえしつつ、
明るく、前向きに、誠実に、ビュンビュンと駆け抜けた人。
それも、何ものにもとらわれない高い誇りと、優しい思い遣りを併せ持ちつつ。
そして人並み外れた感性が、体験し感じ取った全てを、率直に音楽で表現できたことは奇跡のようだと思います。
この曲は、そんなモーツァルトの人となりそのもの、音で描いた自画像のような音楽だと感じています。
こんな風に、思い入れたっぷりに言葉にするとゴツゴツしてしまう内容を、モーツァルトはこの上なくスッキリとした音楽にしてしまう。 凄い!
清々しい晴朗さが響き渡ります。
奥原由子