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本音トーク! 掲示板 試聴曲の解説集

今月の試聴曲今月の試聴曲

メンデルスゾーン作曲

歌の翼に

CDアルバム“春の歌”より
解説は試聴曲の解説集

試聴曲の解説集試聴曲の解説集

2019.03.01

3月の試聴曲について

メンデルスゾーン作曲 歌の翼に

近付いてくる春の気配を感じながら、ひととき音楽に乗っての旅はいかがでしょうか。

ハイネの詩にメンデルスゾーンが作曲しました。
「愛するあなたを歌の翼にのせて、パラダイスに運んでいこう。そして安らぎを味わい、幸福の夢を見ましょう。」 といった詩。

大空を漂う様な、なんとも気持ちの良いメロディ。天才ならではの名曲ですね。
ピアノの音形にも耳を傾けてみてください。絶え間無く上空に向かって優しい風を送り続け、翼の飛翔を支えているかのようです。

自由に空を飛ぶのは私達の永遠の夢。映画やアニメの世界でも繰り返し描かれますよね。メンデルスゾーンは、なんと音楽だけで、私達を乗せて浮かび上がらせてくれます。
しばし目を閉じてイメージを膨らませてみてください。きっとパラダイスに運んでもらえますから。

奥原由子

2019.02.01

2月の試聴曲について

モーツァルト作曲 ラルゲット

寒い日が続いていますが、こんな優しい曲で心を温めてもらえればと選びました。

先月お聴きいただいた曲は、血気盛んな二十歳の頃の、前だけ見据えて走るような生き生きとした音楽。今月の曲は、モーツァルト最後の年に書かれた最後のピアノ協奏曲の第2楽章です。(第3楽章は「春への憧れ」のメロディが印象的)

このメロディは、彼が以前に自動オルガンのための曲として書かれたものです。その後、フルート四重奏にも使われました。
人気、収入、健康、全てを無くしたこの時、なぜまたこのメロディなのでしょう。

ここからは私の妄想。
人生のどん底で彼の心に浮かび上がってきたこのメロディ。不思議な静けさとほの明るさを持った子守唄のようです。
すでに天国にいる両親、幸せだった子供時代、愛妻と子供達、等々これまでの人生全てが「愛おしい」と歌っているように聴こえます。まるで過去が走馬灯の様に回っているみたい。

この協奏曲で、彼は次の時代の音楽世界を切り開いたと言われています。
人生の締めくくりに書かれたのに、悲劇のヒーローっぽくもなく、声を荒げるでもありません。一見淡々と聴こえる音楽の中に、音楽史上空前絶後の深さが込められています。

悲喜交々、でも生きることは素晴らしい、と感じさせてくれます。
こんな音楽を残してくれた天才に、ひたすら感謝を捧げたいと思います。

奥原由子

2019.01.01

1月の試聴曲について

モーツァルト作曲 フルート協奏曲KV.299第1楽章

年の初めに明るい若さ溢れる曲をお聴きください。

フルートとハープのための協奏曲ですが、ここではピアニストがハープとオーケストラ両方をまとめて演奏しています。

書かれたのは、彼が故郷を飛び出したばかりの時期。昨秋からお聴き頂いていた四重奏と同じ頃です。
若者らしい無防備なくらいの明るさに溢れています。

私とピアニストの長谷川綾子さんがこの曲を勉強し始めたのは、共に学んでいたベルリン芸大時代。モーツァルトがこの曲を作曲したのとほぼ同じ年頃です。一緒にシュミッツ先生のレッスンを受け、顔を合わせる度に合奏して感動し合いました。

当時ベルリンは東西に分断され、その双方で超一流の音楽家達によるモーツァルトのオペラやコンサートが頻々と上演されていました。本当にありがたいお手本でした。より深くモーツァルトを学びたい、そしてそれをどう表現するか。答えを求め、躍起になって通いつめました。
後先構わずただひたむきに突き進む、青臭さの塊。

このCDを録音したのは後に帰国してからですが、かつての息吹そのままに演奏したつもりです。

何十年も時を経た今でも、この曲を弾き始めると綾子さんのピアノからは青春が湧き上がります。

モーツァルトと私たちの若気の至りの響きが、皆さんご自身の青春を思い出すひと時となりましたら嬉しいです。

奥原由子

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