3月の講師の演奏について
奥原由子
草木も芽吹き、人も新しい事に遭遇する季節が来ましたね。
モーツァルトもこのオペラで新しい世界の幕を開けました。
この序曲、その喜びが「ジャーン、始まり始まりー!」と飛び出します。
それまで彼の音楽のマーケットは、否が応でも王侯貴族でした。
ですが、このオペラを待っていたのは庶民!
しかも、内容が…
封建時代真っ只中にあって、浮気者の殿様に奥方と家来達が一丸となってお灸を据えるというもの!
モーツァルト、採算度外視で嬉嬉としてのめり込みます。
天才のスーパーパワー炸裂です。
登場人物一人一人の泣き笑いが、生き生きと音楽になって立ち上ります。
それらが滑稽に絡み合い、ドタバタクルクル展開され、観客の目も耳も釘付けにします。
最後、殿様は跪いて謝り、奥方のアリア、全てを許し温かく包み込む「至高の愛」の音楽が響きます。光に打たれたような一瞬の後、全員が唱和し幕が降ります。
公開されると市民が詰めかけ、彼らが口ずさむメロディが街中で聴こえたそうです。モーツァルト、大喜び!
来月は、そのメロディお聴きいただきます。