2021.07.05
7月の講師演奏曲について
ヴィヴァルディ作曲 ピッコロ協奏曲より第2楽章
この曲、哀愁を帯びたメロディが、切々と心に沁みます。
先月お聴きいただいた「かわらひわ」と同じく笛のための協奏曲の第2楽章ですが、雰囲気は対照的です。
バロック時代には、「光と影」のコントラストが好まれました。
響の明暗もテンポも雰囲気も、徐々に移り変わるグラデーションではなく、キッパリと表現し分けられることが多いです。
光があるから影が、また影があるから光が、より一層ハッキリと感じられるのでしょう。
眩しいように明るい「かわらひわ」と、陰りのある心の内を語るようなこのピッコロ協奏曲、交互に聴き比べてみてください。
光と影が交差する複雑な人生を歩んだヴィヴァルディの、悲喜交々が聴こえてくるように感じられます。
奥原由子